youkai5の日記

実家の父が倒れて困ったこと、主にはなかなか人に聞きづらいお金の話。

胃ろうの決断の話

父は胃ろうをつけている。

胃ろうとは、口から食べ物が食べられない患者の腹に穴をあけ、チューブで直接食べ物を流し込めるようにするための処置だ。それには簡単な手術をうける。
その手術は最初に搬送された病院で行った。

最初に搬送された病院は約1月半の入院だった。
なぜ次の病院に移ったかというと、救急搬送を受け入れるような病院には介護保険か健康保険の関係で2ヶ月しか受け入れてくれないのだ。それ以上いると病院が儲からないらしい。
ということで、入院してから2週間くらいで病院側から転院先をどうするかの話をされた。
また、転院を考えるに当たって、胃ろうをつけるかどうか決めてくれとも言われた。
この辺はかなりあわただしく胃ろうについても正直じっくり考える時間はなかった。

当時、点滴で栄養を取っていたが点滴は長期間はできないとの話で、胃ろうをつけるか、さもなくばこのまま死ぬのを待つかのニ択だった。

父の場合、脳梗塞でもかなりひどい症状のため、リハビリがうまくいったとしてもほぼねたきりしか考えられない病状であり、兄弟は胃ろうに反対した。
父は微妙なときもあるが基本意識ははっきりしている。その父にも意識が戻った当初から隠さずに病状は話していた。医者からの胃ろうの説明も父の枕元でしてもらった。父は胃ろうはつけてほしくないと言った。
しかし、結局母が胃ろうをつけると押しきった。

半年たった今、正直この選択を母は後悔している。
なぜなら胃ろうをつけた今、父はどんな状態になっても栄養がとれるかぎり延々と生き続けるのだ。寝たきりのままで。
母が後悔を告げたとき、私は母に対して「だから最初から言っただろう!」と怒った。
母は現在心を病み、診療内科にお世話になっている。
そして父は今でも見舞いにきた家族に殺してほしいと言う。

胃ろうにはいろんな考え方があり、胃ろうという技術自体は私は否定しない。
しかし父のような場合は疑問しかない。
父の場合、元気なうちに胃ろうは嫌だと言うことを家族の誰にも明言していなかった。
医者は、病床の父の胃ろう拒否の言葉は、熱に浮かされていて受け入れられないと却下した。
その病院にはソーシャルワーカーという相談員がいて、何でも相談してくれと言われていたが、実際に相談するには何日も前から予約を取らないと会うのは無理だった。そして相談しても、ケースバイケースだから御家族で決めてくださいねというだけで、他の事例などは一切聞けず、ただこちらが話をして相談時間終了だと言われた。

我が家では胃ろうのケースだが、人口呼吸器など、いざというときに家族は決断できないかもしれない。
個人の意志を明確にしておくのが残される家族への優しさだと今つくづく思う。

私はアラフォーであるが最近エンディングノートを購入した。
自分の希望をはっきりと書いて家族に渡した。これが私の優しさの形だ。